シロ、まだ別れたくなかった


先月、愛犬のシロが天国へ旅立ちました。

暫くは何も手につかず、ブログも書けず、放心状態。

シロは高齢だったけど、獣医さんも驚くくらいすごく元気だった。

今年の春にやった健康診断もバッチリ。

だから、あんなに元気だったシロとこんなに早く別れが来るなんて、思いもしなかった。



シロは8日間闘病した。

ある日、シロは父との散歩中、突然けいれんを起こした。

今まで大きな病気なんてしたことなかったから、家族は驚いて急いで病院へ行った。

「てんかんです」「薬で調整できる」と言われ、注射を打たれて帰ってきた。

でも、全身のけいれんは、てんかんとは思えないほど頻度が多く、

1日のうちにけいれんが起こる回数がどんどん増えていった。

今度は、別な動物病院へ行った。

獣医さんは、シロの様子を見て、難しい顔をした。

その時、何となく、シロとの別れが近づいていることを感じてしまった。



シロの具合はどんどん悪くなっていった。

1日に何度もけいれんが起こり、けいれんが起きている最中に薬を入れてあげなければならなくなった。

けいれんが起きた後、シロはフラフラになりながら立ち上がり、一生懸命歩いていた。

体を支えなければ上手く歩くことができなかったが、シロは自分の足で確かにゆっくりと歩いた。

夜中も、朝方も、日中も、1日中、家族の誰かがシロに付き添った。


どんどん弱っていくシロを見るのがすごくすごく辛かった。

死んでほしくなかった。

まだ別れたくなかった。

離れたくなかった。

でも、シロは子どものころ僕が飼いたいって言って家族に迎えた犬だから、

最期まで看取ってあげたい、看取ってあげなければと強く思った。



他方、シロの看護で家族も疲れ切っていた。

それでも、獣医さんが「シロちゃんどうですか?」としばしば電話をくれたり、

時間外にも関わらず電話で応対してくれたことは、僕たち家族にとって支えになったし、

本当に有難かった。



徐々に、シロは、だんだんご飯を食べなくなった。

水も、あまり飲もうとしなかった。

ある日、母がシロの大好きなスイカやメロン、アボカド、トマト、牛乳寒天、チーズ、プリンなどを買ってきた。

どんどん弱っていく姿を見て、どうしても何か食べてほしい、食べさせてあげたいと思ったのだ。

でも、シロは食べなかった。

というより、もう食べることができなかった。

鼻や口元に大好きな食べ物をくっつけても、

シリンジやスポイトで水や流動食をあげてみても、シロは全く反応しなかった。

最後に、ダメ元で犬用の牛乳をスポイトであげてみた。

シロは、3~4回ほど飲み込んだ。

嬉しくて、家族みんなが「偉いね、シロ良い子だね」と泣きながら言っていた。


その日の夜、獣医さんから電話がかかってきた。

安楽死のこと、延命措置のことを丁寧に何度も説明してくれ、

家族でよく話し合ってくださいと言われた。

獣医さんは、僕たち家族に心の準備をしてくださいと、言いたかったのだろう。



シロの闘病中はずっと、深夜はほとんど父がシロに付き添っていた。

でも、その日の夜は何だか、ずーっとシロに付き添っていたいと思って、

僕は、横たわって苦しそうに息をしているシロの隣で、シロと過ごした今までの人生をシロに語り掛けた。

シロを撫ながら、シロと2人でたくさん語り合った。



でも、そのうち、ふと寝てしまった。

そして、ハッと目を覚ましてシロを見ると、息をしていなかった。

すぐに傍で寝ていた父を起こし、母も呼びに行った。

シロは、まだ温かかった。

たぶん、僕がふと寝てしまってハッと目を覚ました30分の間に、シロは天国へ行ったんだろう。

そうして、リビングに布団を敷いて、まだ温かいシロを家族みんなで見送った。

朝の5時5分だった。



母と僕は、シロを挟んで川の字になって、暫く一緒に布団で寝た。

父は、シロのケージの傍を離れなかった。

冷たくなったシロは、まるで人形みたいで、本当に死んでいるのか信じられなかった。

今にも起きて動き出しそうなほど、安らかに、静かに、眠っていた。

僕は泣きじゃくりながら、「今までありがとう」「ずっとずっと大好きだよ」と言い続けて、

よくイタズラしていたようにシロの鼻に何度もキスをした。



シロは、その日のうちに火葬した。

花を買ってきて、シロが大好きだったご飯とオヤツを添えた。

最後、シロが火葬炉に入っていく姿が脳裏に焼き付いて、今もしばしば思い出される。

火葬炉に入っていくとき、僕は人目も気にせず泣き叫んでいた。

シロが好きだったタオルを握りしめ、シロの名前を何度も叫んだ。

そして、あんな風に取り乱して涙を流す父と母の姿も、忘れられない。

何で死んじゃったんだろう。

まだ離れたくなかったよ。


納骨は、人間と同様の扱いをしてくれた。

骨の部位や名前など、丁寧に説明してくれて、かなり時間をかけてくれた。

分骨をお願いし、母と父のいる実家と、離れて暮らす僕とで分けた。

でも、未だにどうしても、骨がシロだと思うことができず、何だか不思議な気持ちです。



シロを連れ、家に帰ると、動物病院から献花が届いていた。

正直、ここまでして頂けるとは思ってもいなかった僕たちは、ただただ驚き、感謝するばかり。

シロのことや僕たち家族のことを真剣に考えて向き合ってくれた素敵な獣医さん。

シロ、そんな獣医さんに出会えて良かったね。



そして僕は、翌日から絶賛ペットロスが始まる。








0 comments:

Post a Comment