きみにあえてよかった


「ねえ、マリモ」に続いて、4作目。


「きみにあえてよかった」



この絵本の主人公はベンと、犬のスクランピイ。

主人公のベンは、大の仲良しだったスクランピーを亡くしてしまう。
ベンは悲しくて眠れず、スクランピイのことばかり、考え続けた。

「新しい犬、飼ってみない?」と言われても、
「スクランピイと同じ犬なんてどこにもいない!いやだ!」と突っぱねた。


スクランピイを思い出すたび、ベンの心は痛んで、ベンはなるべくスクランピイのことを思い出さないようにした。


時が経ち、ふとスクランピイのことを思い出したとき、ベンはもうスクランピイを思い出してもつらくないことに気が付く。


スクランピイの死を乗り越えたベンは、スクランピイと出会えて本当に幸せだったと強く思う。

そして、ベンはスクランピイの代わりではない、新しい家族(犬)を迎える。





この絵本を読んだとき、スクランピイを思い出すと辛くなるからと、なるべくスクランピイのことを思い出さないようにしていたベンの姿が、自分と重なった。

僕も、こうやってブログを書くようになるまでの間、なるべくシロのことを思い出さないようにしていた。

思い出すと、悲しみや辛さ、後悔や自責の念が溢れてきて、冷静ではいられなかった。

泣いて、泣いての繰り返し。

だから、意識的にシロのことを思い出さないようにしていた。


でも、やっぱり何かのきっかけでふとシロを思い出してしまう。

散歩している犬を見たり、スーパーでドッグフードを買ってる人を見たり、シロの祭壇に飾ってある花の水をかえるときに。


まだ、シロの死を受け入れられない気持ちが、シロの死と向き合うことを避けてしまう。

あの時ああすれば良かった、という後悔と自責が、シロを思い出すことを抑えてしまう。


ペットロスを経験した人のブログなどを見ると、乗り越えるのに1年以上かかってる人も多く、

2年以上経って、やっと乗り越えたという人も少なくない。

大事な家族の一員だから、愛情をそそいだ分だけ喪失感が大きいんだよね…。

シロが居なくなったことを乗り越えるには、まだまだ時間がかかりそう。




絵本では、時が経つにつれ、亡くしたスクランピーの死を受け入れ、思い出をあたためていく気持ちに至るベンの心理的変化の描写が心に響いた。

時が経って、辛い別れが思い出になるとき、「きみにあえてよかった」という幸せを感じられるというメッセージが素晴らしいと思う。


僕も、絵本の中のベンのように、辛い別れが思い出になって、

「きみにあえてよかった」と、シロとの出会いに幸せを感じられるようになりたい。

そしていつか、シロの代わりではない新しい家族(犬)を迎えたいと思う。





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