性同一性障害、手術ミスで和解 大阪医大が慰謝料

心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)と診断され、大阪医科大付属病院(大阪府高槻市)で2006年に乳房の切除手術を受けた立命館大大学院生のヨシノユギさん(27)が、手術のミスで皮膚が壊死(えし)したうえ精神的ケアも不十分だったとして、大阪医大に約3300万円の損害賠償を求めた京都地裁の訴訟で和解が成立した。今月19日付。


和解は、大阪医大側が手術のリスクについて説明する際の表現に省みるべき点があったことなどを踏まえ、慰謝料330万円を支払う▽原告は、同病院が取り組んできたGID治療の意義を否定しない5月末までに原告が病院の医療スタッフに意見を述べる機会を設ける――などの内容。


ヨシノさん側によると、日本精神神経学会が定めるGIDの診断・治療ガイドラインに沿って専門外来を設置している医療機関での手術を巡る訴訟の和解は初めて。


ヨシノさんは24日、京都弁護士会館で会見し、「意見を述べる機会など、重要な要求が達成できた」と和解成立の意義を話した。GID手術は健康保険が適用されず、診療報酬の対象にもならないため実施する医療機関が増えない。
ヨシノさんは診療待ちが2~3年に及ぶ現状に言及し「GID医療の厳しさに関心を持って欲しい」と語った。


訴状などによると、ヨシノさんは子どもの頃から自身の体に強い違和感を抱き、03年、同病院でGID診断を受けた。06年5月20日、左右の乳房を切除する手術を受けたが、間もなく縫合部が壊死した。


裁判でヨシノさん側は「手術前に壊死の危険性を何度も確認したが執刀医は否定した。治療チームの精神科医との連携も不十分だった」などと主張。
大阪医大側は「精神科医はいつでも呼べる状態にあり、連携に問題はなかった」などと反論していた。


GID手術では通常、外科医や産婦人科医などのほか精神科医を交えたチームを組み、手術や術後のケアを担当する。手術によっては高度な技術が求められるため、実施する医療機関は全国で数カ所しかない。(中川竜児)


(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0324/OSK201003240174.html?ref=goo






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