GID学会 in長崎



長崎は良い街ですね。
すっかり満喫してきましたw ←観光ばかり


学会は、いい刺激になったけど、あまり興味のあるトピックがなかったのが残念。
もともと医学領域の学会だからだろうけど、やっぱり医学的な話が主で、
時々ケース研究とか社会学的な発表がある感じ。

個人的には、トランスジェンダーっていう社会的概念に触れた発表が
もっと増えればいいのに、と思った。

あと、どうしてもトランスジェンダーとトランスセクシュアルを区別したがるというか、
「手術(SRS)してるか否か」に焦点を当てすぎてる気がどうもしてしまう。
それがトランスジェンダーやトランスヴェスタイトに対する差別に繋がってるという危惧もされてるけど、どうなんだろう?

個人的に関心がある、周辺群や性別違和症候に関する発表はほぼなし。
性別違和感を持つ人に関する概念の説明のときと、事例研究での症例で触れられたくらい。

今後は、精神療法の効果の検討や精神的・心理的なサポートについての報告がもっとされるようになるといいなぁ・・・と思いました。




以下、個人的に興味があった内容をボケーっと書いてみました。
興味のある方、良かったらどうぞ。





◆カミングアウトに関する当事者自身の問題。
今の若者がしているのは、権利を主張するカミングアウトであって、
理解・共感を求めるカムじゃなくなってる?という発表。

人権問題として権利を主張する一方的なカムではなくて、
カムされた側の感覚・気持ちを考えることも必要なのでは?と。
権利の無理強いは、相手に不快感や嫌悪感を植え付けてしまうかもしれない。

確かに、自分が生きやすい環境を整備していくことは大事だし、自分を客観視するのは難しいけど、
カムにともなうリスクや、権利を執拗に強調することの問題点は、相手任せにするんじゃなくて、当事者自身が考えていく問題でもあると思いました。




◆GID外来での治療中断についての検討。

ドロップアウトは自己中断が多く、MFTよりFTMの方がやや多いそうな。

ドロップアウトの理由は様々だが、経済的問題、長期継続が必要である精神療法への不満、進学・転職に伴う転院、ジェンダーの揺らぎ等。


「身体的治療はゴールではなく出発点」である・・・という言葉が印象的だった。

「ジェンダーの揺らぎ」については、今まで見落とされてた点というか、これからのGID治療の課題だと思うけど、どうなることやら。


それから、精神療法のドロップアウトは、ネガティブな意味だけでなく、「精神的な発達」ともとらえられるのでは?という意見もあった。



◆未成年の受診について。

最近は、未成年のGID疑いの子どもを持つ親からの相談が増えているという。

また未成年患者の治療ドロップアウト率は高く、その理由としては、経済的問題、言語的にまだ未熟なこと(十分に説明できない)、即効的治療を求めすぎること等。


特に未成年のときは、環境・情報の影響を受けやすいという点から、「早く身体的治療をしたい」と、即効的治療を求めてしまうのは分かる気がします。

でもやっぱり、治療に伴うリスクを十分に理解しないまま治療に踏み込むのは危険だし、
性別違和感=性同一性障害=ホルモンやSRS…といった一方向的なイメージはどうなのかな?と個人的に思いました。





こんな感じですかね。
あとは本当に医学的な発表ばかりで、ついていくのがやっとでしたw

4 comments:

  1. カズキ said...:

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    お久しぶりです。最近になり社会的な性役割や、男性像女性像の変化が目立つようになったのでは?と思います。昔とは違う在り方を考える人が生まれ、保守的な人や過去の在り方で平気な人の中に浮くっていう。新しいことを無意識にやってるから違和感に思う人が増えてるんじゃ?と思います。
    厳格な父親像、家庭を守る女性像がゆるくなってるような感じで、人の在り方に変化があるんだと思います。

  1. Loki said...:

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    学会おつかれさまです.
    医学系の学会は仕事の関係上,よく参加&発表していますが,個人的な興味で
    ジェンダー関係のセッションを見に行くことがあります.
    医学系の学会って,結構,極論というかデジタルになっているものがありませんか?
    ジェンダーとセクシュアリティの区別のところとか・・・
    僕が去年行った学会でも,精神,ジェンダー関係のポスターセッションコーナーがあり,
    見ていたのですが,定義自体が極端に感じるものが結構あったように思います.
    グレイな部分もあっていいと思うのですが,実際の研究現場ではどうなんでしょうね~

  1. めぐむ said...:

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    ■カズキさん
    お久しぶりです。お元気でしたか?
    そうですね、おっしゃるように、伝統的性役割や男性像・女性像の変化は著しいく、
    従来の性役割規範がゆるくなったことや、それに伴い典型的な男性像・女性像をもつ人が少なくなったこと等が影響しているのでしょうね。
    今回の学会では、こうしたジェンダーとの関連を検討した発表がなかったのが残念でした。

  1. めぐむ said...:

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    ■Lokiさん
    医学系の学会は行ったことがなかったので、あの独特な雰囲気が新鮮でした。
    Lokiさんのおっしゃるように、ジェンダーとセクシュアリティの区別はがっしりつけていましたね・・・僕は心理学なので多少その感覚に違和感がありました。笑
    定義や区分も極端で、グレーゾーンの症例は出てこなかったのですが、ホント実際の研究現場ではどうなのでしょうねー。
    グレーゾーンに関しては医学系より臨床心理系の学会の方が取り扱いやすいのかもしれませんね。

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